犬・猫の殺処分について|現状と私たちにできること

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犬や猫は、家族の一員といえる存在ですね。しかし大切にされる犬や猫がいる一方で、保健所に収容されて、殺処分される子が後を絶たないことをご存知でしょうか。

 

無責任な人間によって理不尽に命を奪われることは、非常につらく悲しいことです。そのような不幸な命を救うため、殺処分の現状を知り、私たちにできることを一緒に考えていきませんか?

 

 

犬・猫の殺処分状況|平成16年度〜令和元年度

合計
年度/数 引取り数 返還・譲渡数 殺処分数 引取り数 返還・譲渡数 殺処分数 引取り数 返還・譲渡数 殺処分数
平成16年度 181,167 25,297 155,870 237,246 4,026 238,929 418,413 29,323 394,799
平成17年度 163,578 24,979 138,599 228,654 3,936 226,702 392,232 28,915 365,301
平成18年度 142,110 28,942 112,690 232,050 4,427 228,373 374,160 33,369 341,063
平成19年度 129,937 29,942 98,556 206,412 6,179 200,760 336,349 36,121 299,316
平成20年度 113,488 32,774 82,464 201,619 8,311 193,748 315,107 41,085 276,212
平成21年度 93,807 32,944 64,061 177,785 10,621 165,771 271,592 43,565 229,832
平成22年度 85,166 33,464 51,964 164,308 11,876 152,729 249,474 45,340 204,693
平成23年 77,805 34,282 43,606 143,195 12,680 131,136 221,000 46,962 174,742
平成24年 71,643 33,269 38,447 137,745 14,858 123,400 209,388 48,127 161,847
平成25年度 60,811 32,092 28,570 115,484 16,320 99,671 176,295 48,412 128,241
平成26年 53,173 31,625 21,593 97,922 18,592 79,745 151,095 50,217 101,338
平成27年 46,649 29,637 15,811 90,075 23,037 67,091 136,724 52,674 82,902
平成28年 41,175 30,500 10,424 72,624 26,886 45,574 113,799 57,386 55,998
平成29年度 38,511 29,955 8,362 62,137 26,967 34,854 100,648 56,922 43,216
平成30年度 35,535 28,032 7,687 56,404 25,634 30,757 91,939 53,666 38,444
令和元年 32,555 27,126 5,635 53,342 25,941 27,108 85,897 53,067 32,743

※参考:環境省_動物の愛護と適切な管理 

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

 

殺処分数が低下している?

上記の表を見ると、殺処分数が低下していますね。ここ10年ほどの推移(平成21年度〜令和元年)を見ると、約20万頭も減少していることがわかります。

 

昔と比べると、狂犬病予防の観点などから野良犬が減っていることも理由として考えられるでしょう。(野良猫はまだまだ減っていませんね…)

 

そのほかにも、

  • 引き取り数が減った
  • 返還・譲渡数が増えた

なども理由として考えられます。

 

保健所が引き取りの申し出を拒否できるようになった

犬や猫が保健所に収容される経緯として、無責任な飼い主によって保健所に持ち込まれるというケースがあります。

 

しかし2012年に行われた動物愛護管理法の改正によって、保健所は、妥当な理由がなければ引き取りの申し出を拒否できるようになりました。

 

たとえば、

  • 成長して可愛くなくなった
  • 引っ越しをするから飼えなくなった

といったような、身勝手かつ安易な理由での引き取りを拒否できるようになったのです。

 

自治体によって異なりますが、しつけのアドバイスや引き取り手探しの説得などに取り組んでいるところもあります。

 

自治体や愛護団体による返還や譲渡の努力

自治体と愛護団体やボランティアの協力により、返還や譲渡に努めるようになってきています。

 

また、保護犬や保護猫についてテレビでも取り上げられることが増え、認知度も上がったのではないでしょうか。不幸な犬や猫を救いたいという、国民の意識も高まってきているのかもしれませんね。

 

こういったことが、引き取り数や殺処分数低下の背景として考えられます。しかし、半数ほどは殺処分されていることもまた事実。まだまだ課題は多く残っています。

 

殺処分の方法とは?

殺処分の方法をご存知ですか?現時点では「炭酸ガスによる窒息死」「注射による安楽死」などです。

 

殺処分方法については「動物の殺処分方法に関する指針」で、可能な限り苦痛を与えない方法をとるように定められています。しかし、コストの問題から炭酸ガスを選んでいるケースも多いです。

 

考えただけで胸が痛いですね。

 

今私たちにできること

殺処分される犬や猫は、数字だけを見ると減少傾向にあることがわかります。しかしまだまだ、身勝手で無責任な人間によって苦しめられる犬や猫が後を経ちません。

 

では今、私たちには何ができるのでしょうか。

 

無責任に犬や猫を飼わない

当たり前の話ですが、保健所の収容される犬や猫がいなければ、理不尽に殺処分されることはありません。

 

私も犬や猫が大好きなので、可愛いと思う気持ちは本当によくわかります。しかしそれだけの衝動や安易な気持ちで飼うのはやめましょう。

 

犬や猫は、ぬいぐるみではありません。ご飯も食べるし排泄もします。病気になることもありますし、一緒に暮らすためにはお金も必要です。

 

命に対する責任を持ち、犬や猫を迎えるなら最後まで大切にお世話をすること。

 

責任を持てない、最後までお世話をする自信がないのであれば飼わないこと。

 

ごくごく当たり前のことです。
しかしその当たり前ができない人間がいる限り、不幸の連鎖は止まりません。

 

すでに犬や猫を家族として迎えた方は、最後まで大切にしましょう。(きっとほとんどの方が「当然!」と感じていると信じています)

 

これから犬や猫を迎えたいと考えている方は、勢いで飼うのではなく「ずっと大切にしていけるのか」「経済的な問題は大丈夫か」など、一度落ち着いて考えてみましょう。

 

適切な飼育方法を知る

犬や猫が健康に、そして人間と一緒に快適に暮らすためには、適切な飼育方法を知ることも大切だと考えています。

 

しつけができない、噛み癖や吠え癖がついて飼えないなど、飼い主の知識不足が原因で保健所に連れて行かれる犬や猫もいるからです。

 

すでに犬や猫を飼っている方、これから飼うと決めた方は、適切な飼育について学びましょう。

 

少し話がそれますが、大切に思っていても間違った飼い方をしていることもあります。

 

悲しいかなよく見かけるのが、真夏の炎天下に平気で犬を散歩させている人です。目玉焼きができそうな熱々になったコンクリートを歩くと犬が火傷をしてしまいますし、人間よりも地面に近いので熱中症のリスクも高まります。

 

このように、犬を大切に思っていても、知らないうちに傷つけてしまっていることもあるのです。

また、ペットショップに並んでいる商品がすべて犬や猫のためになるとは限らないので注意してくださいね。(小動物用のケージなど、危険なものも普通に販売されていますよ。怖いですね。)

 

話がそれてしまってすみません…。

今はネットで調べるとたくさんの情報が手に入ります。しかし間違った情報もあるので注意が必要です。

適切な飼育方法を知り、人間と犬や猫が快適に暮らせる環境を整えましょう。

 

そのための知識や情報を得られる場や手段など、もっと広く環境が整うといいのですが…。

 

飼い主のいない犬や猫を増やさない

飼い主のいない犬や猫を増やさないことも重要です。

 

最初に殺処分される犬や猫の数について書きましたが、飼い主から持ち込まれるのは「犬=全体の10%」「猫=20%」となっています。(令和元年度)

約80〜90%は所有者不明の犬や猫なのです。野良や迷子、無責任に捨てられた犬・猫が、その大半を占めている可能性があります。

 

「①」に関係してきますが、犬や猫を捨てるのはもちろん言語道断です。犯罪ですからね。

 

注意したいのが、犬や猫が逃げてしまうことです。迷子になって帰ってこない、事故にあってしまった…という不幸なケースがあります。マイクロチップの装着や、逃さないよう環境を整えましょう。

 

また、野良犬・猫に無責任なエサやりをするのもよくありません。ご飯を食べさせてあげたくなる気持ちはわかりますが、集まって繁殖してしまい、地域で問題になって保健所に収容されてしまうことがあるからです。

 

保護犬や保護猫を迎えることを選択肢に

保健所に引き取られる犬や猫がいる以上、殺処分されないためには譲渡や返還など「出口」が必要になります。

民間の団体やボランティアなどによる協力は必要不可欠です。

 

ペットショップに並ぶ犬や猫にももちろん幸せになってほしいのですが、需要があれば供給は止まりません。売れる、稼げるとわかれば、犬や猫を商売道具としか考えない悪質なブリーダーは無理な繁殖を続けるでしょう。

 

(ペットショップや犬猫の繁殖などについてはまた別記事でまとめていきたいと考えているので、ここではこのくらいにしておきますね。)

 

可愛い子犬や子猫を迎えたい!健康な子を迎えたい!といった思いを間違いだと言いたいわけではありません。しかし、行き場をなくして家族を探してる犬や猫がたくさんいます。中には子犬や子猫もたくさんいるのです。

 

保護犬や保護猫はトラウマを抱えていたり、既往歴があったりする子も多いので、初めての飼育ではハードルが高いかもしれません。

しかしすべての子がそういったケースに当てはまるわけではないので、あなたが大切に育ててあげられる子と出会える可能性があります。

 

ペットショップに行く前に、保護犬や保護猫を迎えるという選択肢を持ってみませんか?

 

最後に

私たちにできるのは、自分には関係ないと考えるのではなく、ひとりひとりが自分にできることを探して行っていくこと。

私たちはそう考えています。

 

あまりに残酷な現実から目を背けたくなることもあるかもしれません。
ひとりにできることも限られています。

 

けれど多くの人が意識して取り組めば、不幸な犬や猫をもっともっと減らすことができるはずです。

 

どんなに小さなことでも、少しずつでも、自分にできることを探して始めてみませんか?

 

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。